Athrun×Kira LoveStory*

□はつ恋
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秋晴れの午後。

蒼く高い空は清々しく、緩やかな風に流れる雲がゆったりとした時間を演出する。

大きな樫の木の下で、アスランは読んでいた本を閉じると隣に寄り添って眠る幼なじみを見つめた。

やわらかなブラウンの髪が微風に吹かれ、肩口に預けられた頭の重みが胸に甘い疼きを与える。

この不思議な感情の名前はまだ知らない。

けれど隣にさえ居れば、いつか解るだろうという漠然としていて、それでも確かな思いがあった。

それはキラと居るときにだけ湧き起こる気持ちだから...。

いまだスヤスヤと気持ち良さそうに寝息を立てるキラの髪を撫でていると、彼の母親であるカリダがエプロンを付けたままやってきた。

「キラ、アスランくん。パーティーの準備ができたから帰ってらっしゃい」

今日はアスランの10回目の誕生日で、例年通り仕事に忙しい両親に代わりヤマト家で誕生日パーティーが開かようとしていた。

カリダお手製のバースデーケーキやごちそうが出来上がるのを待つ間、アスランはキラに連れ出されて近くの公園へと来ていた。

公園と言っても遊具等はなく、多種多様な木々や花が植えられ、芝生が広がるだけ。

それでも、キラもアスランも緑あふれる此処が大好きだった。


「はい、アスラン!あげるっ!」

アスランの手のひらにコロンと転がったのは小さなドングリ。

「アスランはお誕生日だから、特別にボウシをかぶったドングリだよ!」

「ありがとう、キラ」

「うん!でね、これはボクのドングリ!」


太陽に翳されたドングリの実がキラリと反射し、嬉しそうなキラの横顔がアスランには眩しく映った。





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