Athrun×Kira LoveStory*

□step...
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「アスラン、エッチしよっか?」

「......は?」


突然、何の前触れもなく、幼なじみの彼は無邪気にそう言ってのけた。
静寂に包まれる室内にアスランの声が空しく響く。

今日は学校から出された課題を一緒にやろうと誘われ、キラの家へと来ていたのだ。

カラン、とコップの中の溶け出した氷が音を立てて崩れた。
それを合図にか、キラが折りたたみ式のテーブルに両手をついて、ずいっと身を乗り出して来た。
キラの顔が間近に迫る。

「だからエッチ、しよ?」
「っ......!」

可憐に微笑むキラとは恋人同士になって一ヶ月。
戯れにキスはしたりしていたけれど、それ以上の進展はなく。
こんな現状にキラが痺れを切らしてしまったのだろうか。
事実はどうであれ、目の前の甘い誘惑にごくりと唾を呑み込んだ。

「キラ...本当にいいのか?」
「うん。アスランのこと、大好きだから...」

彼は潤んだ瞳をゆっくりと閉じていく。
長い睫毛が頬に影を落とし、口づけを待つ唇はふっくらと柔らかそうで。
アスランの理性の糸は容易く切れてしまいそうだった。
だが、キラが微かに震えているのに気づいて踏みとどまる。

「キラ?...もしかして怖い?」
「なっ!こ、怖くなんてないよ!」
「だって震えてる」
「こ、これはっ...!」
「やっぱり止めよう」

アスランは理性を総動員してキラから離れると帰りの支度を始めた。
このまま、この部屋にいるのはいろんな意味でマズいから。
そんなアスランの腕をキラはぎゅっと握って、鳴きそうな声で叫んだ。

「帰っちゃヤダ!」

ぐらりとアスランの心が傾く。
どうしたって自分はキラに弱いのだ。

「キラ...一体どうしたんだ?今日のキラ、変だぞ」

普段なら自分からキスさえ強請って来ないというのに。

腕に抱きついたままのキラは押し黙る。
それでも辛抱強く待っていてやると、やがて小さな声が聞こえた。

「アスランは...」
「ん?」
「アスランは僕のこと、嫌いになっちゃった?」
「はぁ?!」

キラを嫌いになる理由がなくて、大袈裟なほど声を出してしまう。

「キラ、何故そんな話になるんだ?」
「だって...恋人なのにエッチしないのはオカシイ!って聞いたんだもん」

アスランは眩暈を覚えて額を押さえた。
またクラスの女子のくだらない話を鵜呑みにしたのだろう。
溜め息を吐きつつも腕に抱きつくキラの頭を撫でた。

「俺はキラが好きだし、キスも...その先のこともしたいと思ってる。でも、大事にしたいから。キラの心の準備が出来るまで待とうと思っていたんだ」

「...アスラン」
「キラはそういうの苦手だろ?」
「う...、嫌じゃないけど...恥ずかしい」

「うん、分かってる。だから焦らなくていいから俺たちのペースで進んでいこう?」

そっと引き寄せ額にキスを送ると、キラは照れくさそうに微笑んで「ありがとう」と囁いた。



end.
2009.7.30

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