Athrun×Kira LoveStory*
□光
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目覚めたくはなかった。
突き付けられる現実に絶望せずにはいられないだろうから…。
自分の思い描いていた現実とは真逆に進んで行く混沌とした世界。
必死で抗っても、どうすることも出来なかった。
ただ無情にも時間だけが過ぎて行った。
そして......光を失ったのだ。
あいつが居ない世界など耐えられそうになかった。
だから叶うのなら、このまま眠りの淵に沈んでいたかった。それなのに、想いとは裏腹に薄らと意識が浮上していく。
...頼む!まだ夢を見させてくれ!
瞼の裏に焼き尽き、穏やかな微笑を浮かべる彼の面影をいつまでも感じていたいのに...。
切なる願いは叶わず、覚醒と同時に気怠げに瞳を開く。
どうして目覚めなくてはならないのか。
俺にはもう何も無いというのに。
ぼんやりした視界が段々とはっきりしてくる。
「......ラン、…アスラン」
「っ!?」
飛び込んできたのは求めていた光。
目の前に失ったはずの最愛の人が微笑んでいた。
これは儚い夢だろうか?
触れて確かめたくて…。
「キ、ラ…」
必死に言葉を紡いだ。
――キラ、君なしじゃ俺は生きていけない。
end.
up@2006.7.26#改訂2009.4.8