Athrun×Kira LoveStory*
□0518〜風の行く先〜
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――その日は何故か、いつもより早く目覚めてしまって...。
――僕は外へと抜け出した...。
0518〜風の行く先〜
「おはようございます」
「おはようございます、アスラン。素敵な花束ですわね」
玄関の扉を開き、両手に大きな花束を抱えて入ってきた人物は、出迎えたラクスに微笑んだ。
花束は二種類あって、それぞれ色や花の種類が違うようだった。
「キラとカガリに...喜んでくれるといいんですが」
「お二人なら大丈夫ですわ」
照れたように笑うアスランに微笑みを返すと部屋の中へと招き入れる。
まだ早朝とも呼べる時間の為、子どもたちは眠っているようで室内は静かだった。
「こんな朝早くにすみません」
「いいのですよ。今日は特別な日ですから」
アスランはソファに花束を置くと、部屋を見回しながら尋ねる。
「...キラは?」
「まだ、お眠りになられているようですわ。起こしてきま...」
ラクスが言い終わらないうちに、アスランはすでに寝室へと続く階段へ足を運んでいた。
「あらあら、キラのこととなると行動が早いですわね」
ラクスはふふっと笑うと、今日のごちそうの下ごしらえをしているカリダを手伝いにキッチンへと向かった。
コンコンー。
キラの部屋の扉をノックしたアスランは反応が返ってこないことに苦笑した。幼い頃のキラの寝起きの悪さを思い出したからだ。まだ眠っているのなら無理に起こすのは可哀想だと思ったが、キラの顔が早く見たくてドアノブを回した。
「...っ、キラ?」
アスランの視界に映ったのは、もぬけの殻のベッド。
思わず駆け寄りシーツに触れると、すでに人肌の温もりは無く冷たくなっていた。
――いつからキラは居ない?
辺りにも人の気配は感じられず焦燥が走る。
キラは戦後、心を病んでいたから...。
最近は少し落ち着いてきたと聞いたばかりだったのに不安だけが押し寄せる。
「ラクスッ!」
慌ただしく廊下を走ってくるアスランに、キッチンからラクスが顔を出す。
「どうなさいましたの?」
「キラが居ないんだ!見ていないか?」
「キラが?!それは気づきませんでしたわ」
「とにかく俺は周辺を捜してくるっ!」
外へ飛び出して行こうとするアスランにラクスが背後から声をかけた。
「アスランッ!これをっ...」
放物線上に投げられてきたのは、今朝アスランが持って来た花束で。
それを難なく受け取ると、高く掲げて礼を言う。
「ありがとう!ラクス!」
「必ずキラを連れて帰ってきてくださいね!」
「ああ!」