Athrun×Kira LoveStory*

□星の灯る家
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◆1
長く哀しい戦いがようやく終わり、僕たちはオーブで暮らすことになった。
まだ戦争の傷痕はあちこちに残っているけれど、それでも少しずつ世界は平和へと歩み始めていた。


賑やかな街とは正反対の静かな海辺に佇む小さな家。
彼はもう少し大きな家のほうがいいんじゃないか?と言ってくれたけど、僕はこれでいいと言って譲らなかった。
だっていつでも君を近くに感じていたいから。

それなのに…。

「キラ、起きろ」
「……ん、アス、ラン?」

いつの間に眠ってしまったんだろう。気づけばリビングの出窓から、オレンジ色の夕日が差し込んでいた。

「おかえり、早かったね」

にこりと微笑みかければ彼は視線を逸らす。

「…ただいま」

逸らされた視線に、ズキリと胸が痛むが何ともない振りをする。
だって、いつものことだから。

「あ、ごめん!すぐ夕飯作るから」

慌ててソファから起き上がると彼が表情を曇らせた。

「キラ…すまない。これから出かけるから、今日も夕飯はいらない」
「そか…」

気まずい沈黙の後「遅くなるから戸締まりは忘れずに」と、アスランは家を出ていった。

僕たちの関係はひどく冷えきっていた。
それはいつからだっただろうか...。
アスランが仕事から帰ると、すぐにまた外出してしまうようになったのは。

朝も早くにでかけてしまう為、もうずっとアスランと一緒に食事を摂っていない。
仕事が忙しくて、アスランも大変なんだと自分に言い聞かせるけれど…。
本当は解ってる…。
僕と暮らすのが嫌になったんだよね…。

君のことが好きすぎて、この想いが君を追い詰めた。
アスランは優しいから、僕を見捨てることができずに苦しんでるんだろう。

「もう...、ダメだ」

静かな空間にぽつりと呟いた。



――綺麗で優しい君を、僕から解放してあげよう。



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