Athrun×Kira LoveStory*

□1029〜深海の眠り〜
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キラに訊かなくてはならないことがあったのに、それ以上言葉を交わさずに俺たちはもつれるようにシーツの海に身を投げていた。お互いがお互いを必死に求め合う。もう二度と離れないように、身も心も寄り添うように。
何度も何度も二人を繋ぎ、愛を確かめ合った。





「...キラ、いつオーブに戻ってきたんだ?」
「ん。さっき、アスランに電話する少し前に...」

腕に頭を預けるキラの髪を優しく梳きながら真相を聞き出す。

「連絡くれたら迎えに行ったのに」
「だって、驚かせたかったんだ」
「実際、驚いたよ色々」
「でしょ?」

にこっと嬉しげに笑うキラの髪をくしゃっと撫でる。

「電話を途中で切ったのは?」
「十二時ちょうどに、おめでとー!って言うために」

なんていうか、いつまでも子どもっぽいキラに苦笑しか出ない。

「ったく...電話でもいいだろ?」
「駄目だよ。直接、じゃなきゃ......アスランに...逢って、言わなきゃ...」
「キラ、眠いんだろ?寝ていいぞ」
「んー。アスラ...も、いっしょ...」

すーっと静かに眠りにつくキラ。久しぶりだから無理をさせすぎたかな?と思いつつ、その寝顔に口づけた。隣にこうしてキラが居る、それだけで幸せな気持ちになっていく。いつしかキラの腰に手を回し、抱きしめたままの形で眠りに落ちていた。海のような穏やかな空間に二人の寝息だけが広がっていた。



優しい暖かい陽射しが室内に入ってくる。その太陽の光に誘われるように、もぞもぞとシーツから亜麻色の髪の恋人が眠そうに顔を出した。

「おはよう、キラ」
「ん......はよ、アスラン」

ちゅっ、と寝覚めのキスを交わしベッドの中で戯れる。

「アスラン。今日は誕生日だから、何処か出かける?」
「ああ、そうだな。その前に、キラには訊きたいことがあるんだけど?」
「うっ...。なに?」
「何故、一ヶ月も連絡しなかったんだ?」

キラの視線が泳ぎ、気まずそうな沈黙の後。

「...アスランを試したんだ」
「は?試す?」
「アスランは僕のこと、本当に必要なのかって」
「キラ...。それ、本気で言ってるのか?」
「でも!電話して、アスランの言葉を聞いて。僕が間違ってたって分かったから...」

キラが照れながら微笑みを浮かべる、そして...。

「アスランの傍に居てもいいかな?」
「もう離さないっていっただろ?」

柔らかい陽だまりが室内を包み込み、二人はキスを交わし合いながら再びベッドに沈み込んだ。


祝福しよう。
二人の絆を。
永遠の愛を。


fin.


〜後日談。
その日の夕暮れにラクスから俺宛てに一通のメールが届いた。
それには誕生日を祝う文面とキラのことが書かれていた。

『キラはずっと不安だったようですわ。アスランが本当に自分を必要としてくれているのか、と。ですから私が試してみては如何です?とキラをプラントに引き止めましたの。でも、それはきっとキラの思い過ごしですわね。
お幸せに...。』

彼女には頭があがらないなと苦笑を漏らすと、玄関からキラの呼ぶ声がする。

「アスラーン!まだぁ?僕、お腹ペコペコだよ〜」
「すまない、今行く」

これからキラと誕生日祝いを兼ねて、ディナーを食べに行く予定で、彼を玄関に待たせたままだった。ジャケットを羽織ると車のキーを手に取り、部屋を出る。

「じゃあ、行こうか」


2009.6改訂
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