Athrun×Kira LoveStory*
□幸せの距離
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君は今、どんな景色を見ているんだろう...。
ふとした瞬間に、君の姿を追い求めてる自分が居て...。
それがまるで小さな子供みたいで、自己嫌悪に陥る...。
――アスラン...
願わくは、今日も君が幸せでありますように...。
がらん、としたザフト軍内の食堂でキラは一人、トレイに乗った料理をフォークで突ついていた。今日はいつもより仕事量が多くて、昼食を摂るのが遅れてしまったのだ。しかし先程から、キラの視線は窓の外に向けられていて、食事は一向に進んでいない。
そんなキラを、食堂の入り口から溜息まじりに見つめる少年がいた。
(何やってんだか...)
赤服を翻し、少年は気を取り直して中に入っていく。わざと足音を立てて近づいたのにも関わらず、キラは依然ぼうっと外を眺めたまま。
だが、ふいに形の良い唇が僅かに開き、切なく哀愁を帯びた声が漏れた。
「会いたい、な...」
「誰にですか?」
「っ!?」
やはり、人が入ってきたのには全く気づいていなかったらしく、キラは慌てた様子でこちらを振り返った。
「シンッ!?いつから居たのっ?」
「ついさっきですよ。...報告書出来たんで見てもらえますか?」
「あ、ありがとう。ごめん、すぐ確認するね」
「別に急がなくてもいいですから、先に昼飯きちんと食べて下さい」
そう言うなり、シンはキラの向かいの席にどかっと腰を降ろす。
「あ、あのっ...シン?」
「手、止まってますよ?食べ終わるまで待ってますから」
「えと...君、仕事中だよね?」
「安心して下さい。俺、午後からオフなんで」
「え?じゃあ、やっぱり早く確認しないと、シンの休みが...」
キラが報告書に手を伸ばすが、シンはそれを遮った。
「俺のことはいいから。それよりキラさん、ここんところ碌に食事摂ってないでしょ?」
「そんなことは...」
「結構、噂になってんですよ?”隊長の恋煩い”ってね」
「っ...!!」
頬にサッと朱を走らせてキラは俯く。
「図星ですか?ま、別に俺はいいんですけど」
「...ごめん。隊長失格だね」
「会いたいなら、会いたいって言ってみたらどうです?アスランさんに」
「っ!...でもこれは、僕の我がままだから」
「恋人なら、それぐらい受け止めますよ」
シンの言葉にキラは顔を上げるが、その瞳は潤んでいて、今にも涙が零れそうだった。