Athrun×Kira LoveStory*
□Chase!
3ページ/6ページ
act.3
アスランは、アスハ家の屋敷を常時監視しているセキュリティルームに潜入していた。と、いっても彼をよく知る監視員たちが、快く招き入れてくれたのだが。
「...ここもダメ、か」
屋敷のあらゆる場所にある監視カメラから送られてくる映像を確認しながら、アスランは小さく溜息を吐いた。
この広大な屋敷のどこかにキラが居る...そう思いつつ、流れる映像を食い入るように探しても、どの画面にもキラの姿を確認することが出来ない。
どこか監視カメラの死角になっているところに隠れているのだろうか?
それともとっくにアスハ家を離れた?
焦るアスランの脳裏にカガリの言葉がよみがえる。
『あんまり束縛すると、愛想つかされるぞ』
(束縛......か)
キラを想う気持ちが強すぎて、彼にはいつも自分だけを見ていて欲しいと願ってしまう。それが裏目に出て、今朝の喧嘩に繋がってしまった。
戦後、一緒に暮らそうと言ったのは自分からで。その時、キラは「うん」と照れ臭そうに微笑んでくれた。
そんなキラとの甘い生活を期待していたが、その想いは無残にも打ち破られることになる。
平日は仕事でお互い忙しく、休日だけは二人きりで過ごしたいのにキラは度々、友人と遊びに出かけてしまうのだ。ここ最近は特に出かける回数が多くなっている気がする。別に浮気を疑っている訳ではないけれど。
(本当に繋げておこうか...どこにも行けないように、ずっと俺の傍に......。なんて、そんなことできるわけないけどな)
自由奔放で屈託なく笑うキラが好きだから...。鳥籠に閉じ込めておくなんてことは自分にはできない。
アスランは目を閉じると脳裏にキラの笑顔を思い描く。
(せめて一緒に居る時間を増やしてもらわないと...)
「アスラン様!大変です!」
黙考に沈みかけたアスランを突如、現実に呼び戻したのは監視員の声だった。
「キラが見つかったのか?!」
「あ、いえ、そのメイドが客人に絡まれているんです」
「...はぁ。それなら早く助けに行けばいいでしょう?」
「それが、その客人というのがセイラン家のご子息ユウナ殿でして。あまり事を荒立たすわけには...」
頼りない監視員たちに内心ため息を吐きつつ、アスランはモニターを確認する。そこにはユウナに迫られている黒髪のメイドの姿が映し出されていた。その少女にどこか既視感を覚える。そして少女の顔をカメラが捉えた時、アスランは「見つけた」と呟いた。
「え?って、アスラン様!?」
アスランは勢いよく立ち上がると、呆然とする監視員たちを残しセキュリティールームを駆け出していった。