Athrun×Kira LoveStory*

□Chase!
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act.2

(はあ〜、カガリってば...。いくら見つかりにくいからって、この格好はないんじゃない?)

キラは鏡に映る自分の姿を見て、がっくりと項垂れた。今、自分が身に纏っているのは、黒のワンピースにフリルの付いた白いエプロン、おまけに頭にはヘッドドレスまで付いている。それはアスハの屋敷で働くメイドの出で立ちで。

カガリ曰く、これならアスランにもバレっこないと無理矢理に着せられてしまった。

「...服はともかく、これはなんだかなぁ」

キラは、肩にかかる黒のロングウイッグの髪先を摘んで苦笑いする。
まさか人生の中で女装する羽目になるとは...。普段から華奢な体格を気にしていたキラにとって屈辱的だった。

(それもこれも、ぜーんぶ!アスランが悪いんだ!)

段々と苛立ちが募り、同居している幼なじみに八つ当たりをする。

(絶対、帰ってやるもんか!)

そう一人、堅く決意しているとメイド長がやってきた。もちろん、彼女にも正体は秘密だ。キラは今日からアスハ家で働くことになった、新人のメイドということになっている。

「ヒビキさん、早速で悪いんだけど。これを応接室に運んでくれるかしら?」

彼女が持ってきたのはワゴンに乗せられたティーセット。

「お客様がいらしてるんですか?」
「そうよ、カガリ様の大切なお客人だから、粗相のないようにね」
「はい、がんばります!」

そうして、ワゴンを押しながら歩いていくキラの後ろ姿を、他のメイドたちが気の毒そうに見送っていた。

「仕事初日に、あの方の相手なんて可哀想...」

そんな言葉も露知らず、キラは真っすぐ応接室を目指し扉の前に立つ。

(大事なお客さんだから、ミスしちゃったら不味いよね...。これ以上、カガリに迷惑かけらんないし...よしっ!)

深呼吸をして気を引き締めると、扉をノックする。

「失礼します、お茶をお持ちしました」
「ありがと〜、ちょうど喉が渇いてねぇ...っ!!」
「?」

室内のソファに腰掛けていた、癖のある紫の髪を後ろに束ねた男は、こちらを見るなり固まったように動かない。

(何か...失敗した?)

そう考える間も、男はキラの全身を舐めるように見つめてくる。

(はっ......もしかして!男ってバレた!?ヤバいっ!)

一刻も早く、この場を退散しなければと踵を返そうとしたキラに男が声をかけてきた。

「君っ!!」

キラが振り返ると、目の前に男のドアップがあって一瞬たじろぐ。

「な、なんでしょうか?」
「一緒にお茶しよう!」
「は?!い、いえっ、まだ仕事が残ってるんで...」
「つれないこと言わないでさ〜」

男が腕を引っ張ってくる。どうやら男とバレたわけではなさそうだ。バレなくて良かったというのにキラは、少しは疑ってくれてもいいんじゃないか?と矛盾した感想を持った。
まあ、この際それは置いといて...とりあえず、この状況をなんとかしなくてはバレるのも時間の問題だ。

「ほんとにダメなんですってば!」

男の手を振り払うと扉のノブを回そうとしたが、それは出来なかった。
なぜなら後ろから男が抱きしめてきたから...。

「長い黒髪、よく似合うね。素敵だよ」

耳元で囁かれ、ゾワリと鳥肌が立つ。

「っ!!放して下さいっ!」
「僕に口答えするつもりかい?」

そう言う間にも相手は腰をさわさわと撫でてくる。なんで僕がこんな目に遭わなきゃならないんだよ!もう既に我慢の限界だった。

「〜このっ!変態っっ!!」


キラの見事なまでの後ろ蹴りが炸裂した。
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