Athrun×Kira LoveStory*

□twilight.・°*
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浜辺に肩を並べて座り、沈みゆく夕陽に照らされ蜜色に輝く、幼なじみの髪をアスランは飽きることなく見つめていた。

キラは無言で砂を掬い上げては、さらさらと指の間から零し、また掬うという子どものような遊びを繰り返していた。

けれど、その表情には子どもの無邪気さの欠片もなく、冷たく凍り付いていて見ている者を切なくさせた。


愛しく、大切なキラの心が壊れたのは、地球・プラント間の壮絶な戦争が、ヤキン戦にて一応の終結を遂げた後...。

人一倍、痛みに敏感なキラが傷つかない訳がなかった。
それでなくとも彼は、自ら望みもしないのに巻き込まれる形で戦闘に身をおいてきたのだから。

あの苦しい痛みを伴う戦いから一年が経つ。


「一年か...」

すぐ隣に座るキラには聞こえているだろうアスランの声さえも、キラには届いていないようで何の反応も返ってはこなかった。

それでもアスランは嫌な気持ちなど微塵も感じず、優しげな視線をキラに向けながら、そっと柔らかな髪を撫でた。

いつか、キラが心から笑えるようになるまで、自分は彼の傍を離れずにいよう...。

そしてこの先、キラの心が癒えたのならば......。


「キラ」

愛に溢れた声音で紡ぎだされた自分の名前に、初めてキラがぴくっと反応を返した。

「キラ、聞いて?」

アスランはキラの髪を梳きながら静かに口を開く。

「ここを出て、二人だけで暮らさないか?」

マルキオ導師やラクス、子どもたちには申し訳ないと思ったが、この祈りの庭という俗世と少し離れた閉鎖的とも言える空間に、キラを置き続けるのはよくないとアスランは常々考えていたのだ。

キラにはもっと広い視野で大きな世界を見て欲しかったから。
苦しみだけじゃない、あたたかな世界を。

キラがようやく砂を弄っていた手を止めて、アスランの方を向いた。

「二人、だけ?」

夕焼けが反射して美しさが際立つアメジストとエメラルド。

二対の宝石が煌めきを増していく。

「ああ、俺とキラだけだ。...俺とじゃ、嫌か?」
「ううん。アスランと一緒はうれしい。...だけど......怖いよ」
「怖い?何も心配はいらないさ。キラのことは俺が守ってやる」

不安を滲ませた表情に安心させるように微笑みかける。
それでもキラは瞳を泳がせてから俯き、何かに耐えるように砂を掴んだ。

「キラ?」
「アス、アスランが僕を...嫌いになっちゃったら、僕、」
「俺がキラを嫌いになるわけないだろ」

小刻みに震え始めたキラの細い体に、温もりを分け与えるように抱きしめる。

「信じてくれ、今度こそキラの傍を離れたりしないから」
「アスラン...」

いつのまにか空は、淡いグラデーションに彩られ、哀しみを背負った恋人たちを優しく包み込む。


「愛してる」


――どんなに救いのない世界でも、君がいれば前に進める。

end.2008.11.15

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