Athrun×Kira LoveStory*
□happy leaf
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淡いカーテンを開けば、今日も眩い朝陽がオーブの海を金色に染めていて、アスランはその美しさに眦を下げた。
何度みても飽きることのない自然の美。
今は遠く離れた恋人といつかまた、この美しい朝焼けを並んで眺めたい。と、ささやかな夢を開け放った窓の外から吹き込む潮風に乗せた。
それは、いつもと変わらない朝のはずだった。だが...。
「...っ!?」
窓から望んだ景色に在るはずのないモノを目にして、アスランは着慣れた軍服に慌てて袖を通すと、外へと飛び出していった。
アスランが向かった先には、朝陽に煌めく白を基調としたトリコロールカラーのMSが鎮座していた。よく見知っている機体を見上げて、アスランは辺りを窺う。
ここに、ストライクフリーダムが在るということは、すなわちパイロットであるキラがいるはずで。
こんな目立つ場所に機体を放置したままなんてことはないだろうから、キラは近くに必ずいると、確信めいたものを持っていたアスランだが、周囲には全く人の気配が感じられない。
(コクピットの中か?)
アスランが足を進めようとしたところ、金の髪を撥ねさせた国家元首が走ってくるのに気づいた。彼女もこのMSの存在を知り、やって来たのだろうか。
「お、アスラーン!今日も早いな〜」
あっけらかんと放たれた台詞が場にそぐわず、思わず眉間に皺を寄せてしまったのも無理もないことだと思う。
「カガリ、他に言うことはないのか...」
彼女は国家元首という重役を担っているのだ。停戦協定を結んだとはいえ、オーブにザフトのMSが降り立つことを快く思わない国民もいるだろうに。
いまだブルーコスモスの影も完全に消えたわけではなく、世界は不安定な状況下にある。
「そう難しく考えるなって!お前の悪い癖だぞ!」
快活な笑顔と共に背中を勢い良く叩かれ、アスランは二の句が告げない。
どうして彼女はこうも物事に対してぞんざいなのだろうか。「それがカガリの魅力だよ」と、言っていたのは双子の片割れであるキラだったなと、意識がキラに向いたのと同時に頭上から弾んだ声がした。