Athrun×Kira LoveStory*

□海をみつめて
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――待ち合わせはオーブの浜辺。


クリーム色の木綿シャツを着た君が、波打ち際を裸足で歩いている。
時折、屈み込んでは何かを探しているようで。
長めのシャツの裾が波にさらわれ濡れていた。


「キラ」

名前を呼べば、優しい微笑みを返してくれる。
それはどこか切なくて、痛みを伴っていたけれど。

「遅くなってすまない」

「ううん、いいんだ。それより見て?」

キラが片方の手のひらを広げる。
そこには小さな貝殻がたくさんあった。

「へえ、すごいな」

「でしょ?可愛いから、いっぱい拾っちゃった」


嬉しそうに笑うキラが愛しくて。
もう二度と失いたくないと願った。

――宇宙で一番、大切な人。




「キラ」

「あ、...アスラン」

華奢な体で背負い込む何もかもを包んでやりたくて、守るように抱きしめてやる。


「アスラン、次はいつ来るの?」

肩口に頭を預け、耳元で囁かれたキラの言葉に胸が苦しくなる。

ずっと傍にいてやれたら、どんなにいいだろうか。

繊細で淋しさを押し隠す癖のあるキラ。彼の泣いている姿を最近は見ていない...。

だが、きっと人知れず泣いているのだろう。一人で泣かせたくはないのに。


「なるべく、近いうちに来る」

「そう...。無理しないでね」

淋しげに響いた声に抱きしめる腕を強くした。

不安を拭い去るかのように。

強く、強く。



――待ち合わせは、また此処で。

――オーブの雄大なる海の、すぐそばで。



end.2008.06.18
 

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