Athrun×Kira LoveStory*
□宝もの
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そんなキラの笑顔の中に煌めく紫の瞳に夕陽のオレンジの光が溶け込み、綺麗で幻想的な光景をアスランは眩しそうに見つめ、独り言のように呟く。
「..カガリにも感謝かな」
「え?何か言った?」
アスランはふっと微笑むとキラに声をかけた。
「そろそろ祈りの家に戻ろう」
「うん」
地平線の彼方に沈みゆく太陽を背に、キラは先を歩くアスランの後を追った。
―アスラン、...好きだよ。
その背中に切なさが募り、声には出さずに心中で告白する。
―想うだけならいいよね。
そのとき、ふいにアスランが立ち止まり、こちらを振り返って来た。
虚をつかれてキラは驚く。
「え...どしたの?」
「お前こそ、どうした?」
視線で促され、自分がアスランのジャケットの裾を掴んでいたことに気づく。無意識の行動に慌てて手を離した。
「うわっ!ご、ごめん!何やってんだろ、僕っ...」
あはは、と苦笑しながらも内心では焦っていた。絶対、変に思われたに違いない。
「ほんと、ごめんねっ」
「別にそんなに謝らなくても......それより」
「なに?」
「ほら」
アスランから手を差し伸べられ、キラはぽかんと彼の顔とその手を交互に見た。
あまりにも突然なことに、これは現実に起こっていることなのだろうかと頭が混乱する。
そんな動揺を隠せないでいるキラにアスランは苦笑しつつ『キラは危なっかしくて放っとけないからな』と、キラの手を取ると、しっかりと繋いでくれた。
あの頃と何一つ変わっていない、手のひらから伝わる温かさと優しさに、好きだという気持ちが大きくなっていく。
それは、蓋をしたはずの宝物が簡単に開けられそうになるぐらいに...。
「アスラン...」
「キラ、聞いてくれ。俺は―――」