Athrun×Kira LoveStory*
□宝もの
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あったかくて――
やさしくて――
だいすきだった、キミの手―――
――その手が今は少し、遠い。
幼なじみで親友で、いつも一緒。
キラとアスランは、まるで兄弟のように仲良く育った。
物心ついた頃からアスランは『キラは危なっかしくて放っとけないから』と、外へ遊びに行く度にキラの手をぎゅっと繋いでくれた。
アスランと手を繋ぐだけで心臓はどきどきと煩く鼓動を刻み、彼に聞こえやしないかとキラはひやひやしていた。
だって...。
もうずっと、ずっと、君に恋をしていたから。
その恋心は、今も変わらず続いていて...。
戦争による命の奪い合いで心身共に傷ついたはずなのに、溢れ出しそうな想いは強くなる一方だった。
けれど、この気持ちを吐露するわけにはいかないから。心の奥深くにしまい込んで、きつく蓋をする。
――永遠に僕だけの宝物。
「キラ」
「っ!......アスラン、..来てたんだ」
背後から今まさに想っていた人に声をかけられ、キラは驚いて振り向く。
「ああ、ついさっきな。キラが浜辺にいるって聞いたから...。何してたんだ?」
「...風に、当たってただけだよ」
「そう」
すっ、とアスランがキラの隣に歩み寄った。
どきん、と胸が高鳴るけれどキラはなんでもないように装い、明るい笑顔を向けて尋ねた。
「ね!カガリは?来てるんでしょ?」
「いや、彼女は議会の方が忙しいらしくてな」
「そっかー残念...あれ?じゃあアスランは何でここに居るの?君、護衛じゃ..」
「これはカガリからの命令なんだ。いきなり”キラの様子を見てこい!命令だ!”ってさ」
「カガリってば、相変わらずなんだね〜」
クスクス笑い出したキラにアスランは「笑い事じゃないぞ」と拗ねたように言う。
その姿が可愛く思えてキラはますます笑い出した。