Athrun×Kira LoveStory*

□宝もの
1ページ/3ページ

あったかくて――

やさしくて――

だいすきだった、キミの手―――


――その手が今は少し、遠い。



幼なじみで親友で、いつも一緒。
キラとアスランは、まるで兄弟のように仲良く育った。

物心ついた頃からアスランは『キラは危なっかしくて放っとけないから』と、外へ遊びに行く度にキラの手をぎゅっと繋いでくれた。

アスランと手を繋ぐだけで心臓はどきどきと煩く鼓動を刻み、彼に聞こえやしないかとキラはひやひやしていた。

だって...。

もうずっと、ずっと、君に恋をしていたから。


その恋心は、今も変わらず続いていて...。
戦争による命の奪い合いで心身共に傷ついたはずなのに、溢れ出しそうな想いは強くなる一方だった。

けれど、この気持ちを吐露するわけにはいかないから。心の奥深くにしまい込んで、きつく蓋をする。


――永遠に僕だけの宝物。





「キラ」

「っ!......アスラン、..来てたんだ」

背後から今まさに想っていた人に声をかけられ、キラは驚いて振り向く。

「ああ、ついさっきな。キラが浜辺にいるって聞いたから...。何してたんだ?」

「...風に、当たってただけだよ」

「そう」

すっ、とアスランがキラの隣に歩み寄った。
どきん、と胸が高鳴るけれどキラはなんでもないように装い、明るい笑顔を向けて尋ねた。

「ね!カガリは?来てるんでしょ?」

「いや、彼女は議会の方が忙しいらしくてな」

「そっかー残念...あれ?じゃあアスランは何でここに居るの?君、護衛じゃ..」

「これはカガリからの命令なんだ。いきなり”キラの様子を見てこい!命令だ!”ってさ」

「カガリってば、相変わらずなんだね〜」

クスクス笑い出したキラにアスランは「笑い事じゃないぞ」と拗ねたように言う。

その姿が可愛く思えてキラはますます笑い出した。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ