Athrun×Kira ParallelStory*

□honey so cute
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家路までの桜並木をキラと肩を並べて歩く。
見上げた桜の蕾は硬く、春はまだまだ先だろう。

こんな風に一緒に帰るのは小学生の頃から変わらず、この桜並木も見慣れたものだった。
幼なじみで親友で、兄弟のように育った二人の関係が形を変えたのは高校に入学して間もなくの頃。

桜が満開の帰り道で、ずっと抱えていたキラに対する恋心を告白してみれば、彼も同じ気持ちで。両想いだったと知れたときの嬉しさは、いまだ胸の奥底を焦がして止まない。

「アスラン、なに考えてるの?」
「...ん?キラのことさ」
「...うわ〜キザ...」
「本当のことを言っただけだ」
「は、恥ずかしいなっ!バカッ」

ぷいっ、と顔を背けたキラの耳がほんのりと色づいていて、頬を緩めずにはいられない。

(可愛いなぁ、キラは...)

こんなことを面と向かって言えば余計に怒らせてしまうので、胸の内にそっと閉まっておくが、可愛いという言葉はキラを形容するのにぴったりだと思う。

「そういえばキラ、帰りにどこかに寄るって言ってなかったか?」
「...あ、うん!チョコを買いに行きたいんだ」
「は?チョコ??」
「うん、今度バレンタインでしょ?それで限定発売されたチョコがあって、どうしても食べたくてさ〜」

キラの意識は最早チョコレートに向かっているようで、夢見る乙女みたいに瞳をキラキラと輝かせている。
それを邪魔するみたいで悪いなと思いつつも、アスランは気になることを問いかけた。

「で?俺へのチョコはないのか?」
「え?...だ、だってアスラン、甘いもの苦手だし...って言うか、僕もアスランから貰ってもいいはずだよね?」
「俺はすでに用意してあるんだけど?」
「えっ、嘘?!わ〜〜ホント、ごめん!考えてなかった」
「まぁ、いいけどな」

付き合い出して一年にも満たないけれど、キラとの縁はそれ以上に長いから性格も熟知していて。今回のバレンタインも期待してはいなかったのだが、やはり少し寂しいものを感じる。
そんな複雑な俺の胸中も知らずに、キラは名案が思いついたとばかりに口を開いた。

「あ!じゃあ、今からチョコ買いに行くから、そこでアスランの分も買うよ!」
「...なんか、ついでみたいだな俺」
「そんなことないって!なんなら君が選んでくれてもいいから!」
「でも俺、チョコより欲しいものがあるんだけど?」
「そうなの?あっ、でも高いものはダメだからね!今月ピンチなんだから」
「安心しろ...」

にっこり微笑むと、キラの腕を取って耳許に顔を近づけ言葉を吹き込む。

「...欲しいのはキラだから」
「えぇぇ〜!なにそれっ!?なに言ってんの!?」
「お金かからなくていいだろ?」
「そういうことじゃなくて〜〜っ!!」

顔をこれでもかというぐらいに赤くして、ふるふると羞恥に震えるキラが可愛すぎて、本当にどうしてくれようか。

「なに笑ってんの!」
「いや、やっぱりキラは可愛いなぁと思って...」
「〜〜っ、もう知らないっ!バカアスランッ!」

腕を振り払って、ずんずんと先を歩き出したキラの後を追いながら、アスランはゆるりと甘い溜め息を吐き出した。


――どんな君も可愛くて、可愛くて堪らない。

love end...
2009.2.11

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