Athrun×Kira ParallelStory*
□夕涼み
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夏の匂いをまとう風が二人の間を優しく吹き抜けていく。
「涼しいね、アスラン」
手をつないで隣を歩く幼なじみを見れば、大好きな笑みを向けてくれる。
「夏も終わりだな」
「うん」
日中の暑さは幾分か和らぎ、過ごしやすい気候へと変化していく。
秋はもうすぐそこ。
「なんか...淋しいな」
どうしてそう感じてしまうのか...切ない気持ちが胸を締め付ける。
過ぎゆく夏の気配に感傷的になってしまったのだろうか。
自分の心はそんなに繊細に出来ていないと思っていたのに。
「キラ?」
心配げに掛けられた声にハッとする。
(そうだ、僕にはアスランがいるじゃないか!何、弱気になってんだ僕!)
キラはアスランの顔を見つめると、にっこり微笑んだ。
「アスラーン、えへへ」
「キラ??」
淋しいと口にしたばかりのなのに、今度は満面の笑みを浮かべたものだからアスランが戸惑っているのが分かる。
キラは悪戯が成功した子供のように笑うと、きゅっと彼の腕にしがみついた。
「アスラン、ずっと一緒に居てくれる?」
「ああ、約束しただろ。ずっと一緒だって」
「本当?絶対だよ!」
「俺が今まで約束破ったことあった?」
「ないね!」
「だろ、だからもう淋しいなんて言うなよ?」
「ん。ごめんね、大好き!」
やっぱり僕には君が必要で、それはこの先もずっと変わらない気持ち。
幸せな気分で空を仰げば、茜空に羽ばたく渡り鳥の姿が見えた。
end.
2008.9.13
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