宝物@
□Long day of CAT!
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マリーアの隠れ家から、やっと無限城まで見える所まで辿り着いたが、猫の体に慣れてないせいか、元々猫の体力がそうなのか、俺は疲労困憊だった。
「ニャーニャニャ(ああ。シンドっ)」
植え込みの影に身を寄せて、少しでも疲れを癒そうと、体を丸める。
だが、ふいに首根っこを掴まれて持ち上げられた。
「こんな所に猫とは、珍しい…。」
「ニャッ、ニャニャー!(あ、赤屍っ)」
持ち上げてる人物を一目見遣り、俺はギョッとする。
―何だって、こんな時に会わなきゃなんねーんだよ!
ジタバタと藻掻くが、しっかり掴まれて、思うようにいかない。
「ほら。暴れたら落ちてしまいますよ?」
スッと抱え込まれ、赤屍は俺の喉に手をやる。
指先が上下に往復し、やわやわと喉元を撫でられる。
―うっ、やべぇ。
優しい指使いに、ゾクリとする。ツボを知り得た動きに、ジワジワと心地良さが染みてきて、強張っていた体から力が抜けていく。
―何か、すっげー気持ちいい。
気がつくと俺は、赤屍に身を擦り寄せて、その喉をゴロゴロと鳴らしていたのだ。
「紫紺の瞳とは…。まるで、誰かさんみたいですね。このまま、飼ってしまいたいくらいだ。」
うっとりと夢見心地だった世界から、危うい台詞に一気に現実に帰る。
俺はグルリと身を捩って、赤屍の胸から飛び出した。
「やれやれ。逃げられてしまいましたか…。」
―危ねぇ、危ねぇ…。危うく赤屍の飼い猫として一生を終えるトコだったぜ。
再び俺は走り出して、とうとう無限城までやってきた。
早いトコ、銀次を見つけねぇと…。