宝物@

□End Roll
2ページ/4ページ


「…んっ……ちょっと、待てっ。AV見て興奮してんのは、わかっけど……。こんな真っ昼ま……んぐっ。」

顔を横に向けた苦しい角度から、押し付けられた唇。
そして、荒々しく入り込む舌。
口腔内を舌で混ぜ返され、唾液を送り込まされる。
飲み下せずに噎せ返るのさえお構いなしに口付けは続く。

「うっ……んんっ………止せっ……俺はAV女優の代わりじゃねぇんだぞ?」


これ以上は危ないと思った。
流されて、済し崩しに抱かれるだけだ。

そんな事、日常茶飯事ではあるが、こんなAVを見た直後では、AV女優の身代わりにされていると思うのが普通だ。
誰かの代わりなど、真っ平だった。


羽交い締めにされている体勢から、何とか逃れようと身を捩ってみるが、身長はそれ程違いないとはいえ、体格差はある。
蛮は思う様に動けなかった。

「…じゃないよ。」
「ああ?」

聞き逃してしまう程の小ささで銀次が何かを呟いた。
身動きが取れないイライラで、蛮は、思わず語気を強めて聞き返した。

「AV女優の代わりじゃないよ。」

真剣な眼差しと力強い手が、蛮を色あせた畳に縫い止めた。

「実は俺さ。粗大ゴミ置き場でこの『でーぶいでー』見つけた時から、凄い楽しみだったんだ。俺って、こういうの見た事なかったし、女優さんが蛮ちゃんに似てたから。」

縫い止めていた手が、やわやわと脇腹を撫で、肩口に熱い吐息が吹き掛かる。
項の弱い辺りを唇が掠めていく、焦れた動き。

「でも、駄目だった。なんか、俺…蛮ちゃん以外の人じゃ勃たなくなっちゃったみたい。ほら。」

蛮の手を取り、股間へと導く。
そこは、興奮状態とは、ほど遠かった。
ついさっき反応したばかりとでも言いたげに、僅かに兆しを見せているだけ。

「ねぇ?舐めて。」

逃れようとしていたのが嘘のように、蛮は素直に銀次の言葉に従った。
蹲るように銀次の股間に顔を埋め、黒い茂みに鼻先を押し付け、深くくわえ込む。
雄特有の青臭い匂いを嗅ぎながら、蛮はゆうるりと舌を動かした。
次第に速められる動きの中で、徐々に育っていく男根。浮かび上がる血管の凹凸さえ、慈しむように蛮の舌は撫でる。


『ああ。……そう、上手じゃないか。かわいいよ。』


DVDプレイヤーからAV男優の台詞が聞こえる。
折しも、流れている映像も、AV女優がAV男優の性器を奉仕しているシーンだった。

「あんな子より、蛮ちゃんのがずっと可愛いよ。」

甘い囁きに、蛮の背中がぞくりと震えた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ