宝物@

□4つの薬
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〜 緑の薬 〜
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「HAPPY BIRTHDAY。銀次。これが俺からの誕生日プレゼントだ。」

そう言って、蛮ちゃんは緑色のカプセルを飲み込んだ。
俺が悩んだ末に選んだそれは、女の人の体になってしまうというマリーアさん特製の魔法の薬。

「…んっ。ぐぅ……ぁ。」

変化はすぐに現れた。
呻いた後で、蛮ちゃんは蹲くまると、次第に体が小さくなって、体つきも丸みを帯びてきた。
何よりも普段の蛮ちゃんには、絶対に有り得ない胸の膨らみがそこにはあったのだ。

「Cカップってトコか。もうちっと欲しいトコだなぁ。」

ムニムニと自分の胸を揉んでいたかと思うと、俺の手を掴んで触らせたのだ。

「ば、ばば蛮ちゃん!」
「どうよ?もう少しデカい方がいいだろ?」
「じゅじゅ、十分です!」

すぐさま、手を振りほどく。真っ赤になってるだろう顔を自覚して。

「純情だねぇ。そんなんでヤれんのかよ。」

細く白い腕が首に絡む。
ぴったりだったシャツはすっかり大きくなってしまって、開襟部分から胸の谷間が見え、ドキドキした。
それに気がついた蛮ちゃんが、わざと胸を押し付けてきた。
俺の足の間に体を割り込せた時には、もうズボンなんてはいていない。
尤も、男物のズボンでは今の蛮ちゃんには大き過ぎるのだろうけど。
だからって、この展開はあんまりにも急で、夢に描いたデートプランが木っ端微塵に砕かれていく。

「ちょ、ちょっと。蛮ちゃん。」
「んだよ。女とヤるチャンスなんて、もう二度とないかもしれねぇぞ?」
「女だからじゃないよ。蛮ちゃんだからだよ。蛮ちゃんじゃなきゃ意味がないもん。」


俺だって、男だから女の人を抱きたいとは思う。
それでも、俺の1番は蛮ちゃんなんだ。

だから、緑の薬を選んだ。
女の人を抱くにしたって、相手はやっぱり蛮ちゃんがいいから。


俺の体の下で蛮ちゃんが小さく笑う。
軽く伏せられた睫毛が顔に影を作っていた。

「触ってもいい?」

ほとんど無意識に聞いていた。
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