宝物@

□美堂蛮の逆襲
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「なんで、蛮ちゃんが持ってるの?」

だってそれはローターのリモコン。
昨日蛮ちゃんに使って楽しんだものだ。

「ちゃんと隠してしまっていたのに…」

前に玩具が見つかって勝手に捨てられてしまったことがあった。
だから蛮ちゃんが気付かないように隠していたのに。

「まさか…このテーピングの中に…」

ローターがあるの?と、その問いは蛮ちゃんに笑顔で肯定された。

「御名答……さぁて、味わって貰おうか」
「な、何……を?」
「随分昨日は楽しんでたじゃねぇか」

スイッチに蛮ちゃんの手がかかる。

「蛮ちゃん!ちょっと待って!!」

蛮ちゃんの手からスイッチを奪おうとする。
が、遅かった。

「味わえよ?銀次」


ビィィ――…


僅かに聞こえる機械音。

「っ!くうっ…」

先程みた夢での余韻も手伝ってあっという間に自身はパンパン。

「やられたらやりかえせだ。どうだ?銀次」
「っ、く……」


バリッ


「ん?ローターが動かねぇ」

今まで確かに動いていたはずなのに、突然止まった。
機械音が聞こえない。

「っ、壊したよ…。ローターなら」

少し息の上がっている銀次が答える。

「はぁ?どうやっ…」

今更ながら気付いた。
こいつは電気を操れると言うことに。

「テメェ…」

ということは、ローターに電気を流して簡単に壊す事が出来る。
そのことを今更気付かせてくれた頭が今度は逸早く危険を知らせる。

「さぁて、蛮ちゃん」

今度は銀次が笑みを深める番。

「次は蛮ちゃんの番だね」

ニッコリと笑う銀次。

「俺はいいっ!!っ、離せっ!」

銀次に捕まえられ逃げる事は叶わなかった。

「ダメだよ?順番だから…ね?」


カタン


片手に持っていたローターのリモコンを下に落とし銀次の手を外そうとした。
だが銀次は俺の手を離そうとはしなかった。
そして上半身を起こし俺を自分の下に引き込む。

「玩具で遊んで欲しいみたいだね」

じゃあ、望み通りにしてあげる、と耳元で囁かれる。
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