宝物@

□GOOD NIGHT
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お世辞にも綺麗とはいいがたいボロボロのアパートの2階。ギイギイと啼くドアを開けると、狭くて殺風景な室内があった。
ホントに何一つ物のない、人が住んでいるとはとても思えないような、ガランドウの部屋。
とは言うものの、無限城内のどの部屋よりも立派なものだったけど。
でも。
室内になにもないからだろうか。
ときどきちょっと、ブルッてくる寒さがある。
「美堂くん、オレ寒いんだけど……ねえ?」
お互い、初対面とは言わないけどさ。
一度はホンキで殺し合った者どーしなのに。
どうしたら、こんなムボービに寝られるの?
オレのこと、信用してくれてるの?
それとも、気にするほどのヤツじゃないって思われてるんだろうか。
だったら、ちょっとカナシーかな。
グルグルと、オレが1人モンモンとしてる間も、元凶の美堂くんはと言うと、それはもう、心地良さそうに眠りの世界にいざなわれたままで。
なんかちょっと。
いいかげん、ひとりごとを言ってるのにも疲れてきた。
「ねえ、オレも眠い。寝ちゃうからね、いい? オレちゃんと断ったよ。あとで文句言ったってダメなんだからね。寝てる美堂くんが悪いんだよ」
イイワケがましく、熟睡している美堂くんに小声でそう告げて。
オレは、薄っぺらいけどぬくぬくのフトンに入り込んだ。


その夜は。
美堂くんの眠りに誘われるように。
オレはまだ、雷帝と呼ばれる以前の、ちっちゃかった頃を思い出した。
みんなで体をよせあって寝た、あの頃。
人ってくっついてると温かいんだって。
あの頃、初めて知った。
“ぬくもり”っていうのを、生まれて初めて知った。
あの頃と同じ、温かさだった。




☆★☆★☆★☆
こびと王国様からフリーだったので頂いてきました☆
無防備に寝ちゃう蛮ちゃんや『美堂くん』って呼んじゃう銀次のアーリーな二人に始終萌えさせて頂きましたvV
シュサ様、ありがとうございましたヾ(*^∀^*)ノ
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