宝物@

□Long day of CAT!
1ページ/8ページ

これは、夢か?邪眼か?
マジで、こんな、こんな…

「ニャニャニャー!」




〜Long day of CAT!〜



朝、起きたら、俺は猫になっていた。
血統書付きと見紛う程の艶やかな毛並みをした、尻尾の長い黒猫。紫がかった瞳は、人間の頃、そのままだ。

ともかく、俺は階下に下りてマリーアに訴えた。
銀次が無限城に泊まりがけで行っちまってるから、飯をたかりにマリーアの隠れ家に泊まりに来ていたのだ。

「ニャニャー!ニャニャニャーゴニャー!(マリーア!これはどういう事だ!)」
「あっらー、蛮。可愛らしい格好になっちゃって。」

さすが99歳も生きていた魔女だ。
俺のこの姿を見ても、大して驚いた様子もない。

「貴方、あの棚のワイン飲んだのね?いくら銀次くんがいなくて寂しいからって、あれは、『呪いのワイン』だったのに。」

マリーアは俺をひょいと持ち上げ、豊満な胸に抱くと、ため息を零した。

「ニャーニャーニャニャ(な、なんだって?)」
「あのワインはね。今の貴方のように飲んだ人間を猫の姿に変えてしまうのよ。」
「フニャーニャ、ニャーニャー、ニャニャニャ(呪いを解く方法はねぇのかよ?)」
「あるにはあるわ。猫の姿になってから24時間以内に、好きな相手に自分だって気付いて貰う事。相手に気付かれなかったり、時間が経つと一生猫のままよ。」
「ニャニャッ、ニャーニャーニャ(だったら、早く銀次にこの事を知らせろ)」
「それは無理よ。教えた時点で、貴方は一生猫のまま。自力で気付いて貰えなければ呪いは解けないわ。」


―冗談じゃねぇ。一生猫のままなんて真っ平だ!

苦しいくらいに埋もれていた肉メロンからヒラリと飛び出した。

「蛮。何処行くの?」
「ニャニャ、ニャーゴニャーニャ(ともかく、銀次のトコに行く)」

まずは、そこから始めねぇ事には何も解決しねぇ。
俺はマリーアの家を飛び出した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ