宝物@
□End Roll
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カンカンカン…と、錆びついた階段を駆け上る軽快なリズムが、安アパートに響く。
『新装開店』のチラシに魅せられてパチンコへ繰り出したものの、結果が散々だった蛮は、予定時間よりも早くに帰宅するハメになってしまった。
「なーにが、出血大サービスだっての。」
チッと舌打ちをして、ドアノブに手をかけた時、部屋の中から微かに人の声が聞こえてきた。
−部屋には、銀次しかいねーはず。
四天王の誰かでも遊びに来ているのだろうかと、蛮は耳を澄ませてギョッとした。
『あぁ……っん…ぁ……いいっ……気持ちいいよぉ…。』
ドア越しに聞こえてきたそれは、聞き慣れない女の声だった。
−まさか、俺のいない間に女でも連れ込んだんじゃ…
蛮は感情の赴くまま、ドアを蹴破らんばかりに部屋に飛び込んだ。
「てめぇ!銀次の分際で女連れ込むたぁ、いい度胸してんじゃねぇか!」
んが!
女どころか、部屋にいたのは銀次一人きり。
「へ?でも、確かに女の喘ぎ声が聞こえて…。」
ふと、この部屋唯一の家具であるちゃぶ台に目を移すと、何処で借りてきたのか、ポータブルDVDプレイヤーが置いてあった。
さらに、そこに映し出されていたのは、所謂『AV』だった。
「ったく、AVかよ。脅かすなっつーの。そうだよな。お前が女連れ込む度胸なんてないよな?」
勇んで飛び込んで来た手前、バツの悪くなった蛮は、乾いた笑いと共に銀次の肩をポンと叩いた。
だが、銀次は、あれだけ蛮が派手に飛び込んで来たというのに、DVDプレイヤーの前に正座した姿勢のまま微動だにしていなかった。
「んだよ。そんなに食い入るように見る程、イイのかよ?これ…。」
蛮が見る限り、どう見ても普通のAVにしか見えない。
強いて言うなら、黒髪のショートヘアーのAV女優がどことなく、自分に似ているくらいだけれど。
−−と。
食い入るようにDVDプレイヤーを見つめ、微動だにしていなかった銀次が突如、動き出した。
蛮がそう認識した時にはもう、背後から抱き締められ、シャツの上からまだ熟れてもいない果実を摘まれていた。
「んっ……はっ………あぁっ……。」
瞬間、蛮の体内に電流が走った。
コヨリを作り上げる仕草で、果実に縒りをかけられる。
衣服のざらつきが、敏感な先端を刺激して、的確に攻めていく指先の動きが、否応なく官能を高める。