宝物@

□GOOD NIGHT
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「さっさと寝ないでよ、美堂くん」


部屋の真ん中に敷かれたフトン。
テキトーにしていろって言われたのはいいけれど、この何もない部屋で、どうテキトーにすればいいんだろう。
別にテレビが見たいとか、ゲームがしたいとか。
そーゆーことじゃなくて。
もっと、こう。オレをここに連れてきた責任? そんなものがあるんじゃないだろうか。
それなのに当の本人は、オレの目の前でグースカグースカ、、あるでオレの存在など忘れたかのように、寝入っている。


「ねえ、ったら。オレは、どーすれば、いいの?」
「んあ?! うっせーな。オレは眠ィんだよ。テキトーにしてろって言っただろ」
「だから……そのテキトーって、なに? だいたい、なにか言いたいことがあるから、オレをここに連れてきたんじゃないの?」
そうなんだ。
この美堂くんと、無限城下で初めて会って。死闘をくりひろげてから、数日。
オレの存在が周囲にあたえる悪影響を知ったオレは、逃げるように無限城を飛び出した。
このままじゃ、ダメなんだ。
みんなのためだって。
自分に言いきかせて。
そして、裏新宿をあてもなくフラフラしているところを、この美堂くんに拾われた。
「行くトコがねーんだったら、とりあえずはウチに来い」
って、言われて。
口調は乱暴で。
態度は、面倒くさそうなカンジで。
フツーならとても好感はいだかないんだろーけど。
でも、なんだろう。
そのときの、瞳だとか。雰囲気?!
そーゆーのが暖かく感じられて、オレはかつて闘った相手なんてこと気にもしないまま、美堂くんについて来てしまった。
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