宝物@

□我儘な君に苦いキスを。
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我儘なキミに苦いキスを。




白い陶器のカップに注がれたダークブラウンの珈琲に、たっぷりと甘いシュガーポーションを入れてくるくるとアンティークスプーンで掻き混ぜる。

苦い苦い珈琲が、こうすれば瞬く間に甘い甘い魔法になって君の喉を下るのだと思えばそれはそう、この上ない幸せ。





我儘なキミに苦いキスを。





朝、目が覚めてキミが欲しがるもの。
カーテンから注ぐ暖かい日溜まりに包まれて、お目覚めのキスとおはようの言葉、抱き起こしてあげれば第一声が珈琲の催促。

俺はその言葉に苦笑を浮かべながら我儘なお姫様のために注文された珈琲を、彼女お気に入りのカップに煎れて薫った苦味を含んだ芳香にトーストとサラダの準備。

全ては君のため。
大好きな君だけのため。


「蛮ちゃん、そろそろ起きて?」


差し込んだ朝日と暖かいシーツにくるまって、今だまどろむ可愛い人に声を掛けるけれどそれすらお姫様は聞きやしない。


「…ヤだ」

「珈琲煎れたよ?」

「後で飲むから良い…」

「珈琲は煎れたてが美味しいって言ったのは蛮ちゃんでしょ?これじゃあ冷めちゃうけどそれでも良いの?」


俺はむずがる彼女の唸り声を聞きながらまた一つ溜め息、でも嫌じゃないからまた自然と笑ってしまって、ちらりと遣った視線の先には波打つシーツに濡れ羽色の髪をばら蒔いて尚眠る、いつもより幼い少女。

彼女のために煎れた珈琲、注文しておいて眠るなんてと思っていたのは最初の内だけで今はもうその身勝手も愛しくて仕方ない。


(もう‥仕方ないなぁ、)


朝に弱い彼女。
クリームピンクのキャミソールから白い肩を覗かせて、長い睫を時折震わせれば薄く開いた桜色の柔らかい唇は甘い吐息。

俺はそれらの光景に軽い眩暈を起こしそうになりながらせめてもの意地悪で、彼女が大好きなダークブラウンの珈琲の中にシュガーポーションを一つ二つぽちゃりと落として、カップとセットのアンティークスプーンでくるくると液体を掻き回す。

これを目の覚めた君が飲めば、また甘い甘いと言って怒るんだろうけどたまにはこれくらいの意地悪は許してほしい。


(ごめんね、蛮ちゃん。)


でもほら、これさえ飲めば口直しで俺の飲んだ苦い珈琲味のキスをあげるから。


(沢山キスしてあげるから。
それで許してね。)


だから早く目を覚ましてくれないかな。










俺だけの可愛いキミ。







☆★☆★☆★☆
Pupille von Purpleの裏壱様から8700蛮を踏んで頂いて来ました!!
にょた蛮ちゃんですvvああもう、蛮ちゃん可愛すぎです…ッ!!そんなに無防備に眠ってたら銀次に襲われちゃいますって(*´Д`*;でっも銀次も男らしくてドキドキしちゃいましたvv
どうしよう…女体化はまりそうです(笑)
裏壱様、素敵な小説ありがとうございました!!

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