駄文@
□アナタに願う事 ★
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蛮ちゃんはよく怪我をする。
特に右肩なんて仕事の度に傷つけられて、その跡が消えないくらい。
お願いだからもっと自分の身体を大事にしてって言ってるのに…
いつも適当な返事しか返ってこない。
そして、今日の依頼でも蛮ちゃんは右肩に新たな傷を負った。
「クソ、油断したぜ」
右肩を覆う三角巾を睨み付けながら蛮が言う。
「蛮ちゃん、お願いだからもっと自分の身体を大事にして…」
「まーたそれかよ?不可抗力なんだから仕方ねぇっていつも言ってんだろ」
「そーかもしんないけどさぁ…」
依頼の方はとりあえず成功し、奪還料も(半分はHTのツケとして出ていったが)それなりに入った。
なので今日の二人の寝床は狭いスバルの中ではなく、都内のビジネスホテルである。久しぶりに手足を伸ばして眠れるということで、ベッドに転がりながら先程の会話をしていた。
「風呂入ってくるわ」
「あ、俺洗ってあげるよ」
「遠慮する」
銀次の優しい気遣いをきっぱりとお断わりし、ベッドから降りてバスルームに向かう。
「何で!!怪我してるんだから洗いにくいでしょ」
「…その手には乗んねーぞ」
「その手??」
蛮の警戒するような視線に、銀次はきょとんと首を傾げてみせる。
「それを口実にまた風呂場でヤル気だろ」
「そ、それはっ…!!……………勢い次第と言うか…」
銀次がもじもじしながら、頬を染める。
「やっぱヤル気なんじゃねぇか!!フ二ャチンのくせして生意気なっ」
「いたたたたっ!!ごっごめんなさぃ〜!!」
片手で銀次の頬を思い切り引っ張る。さすが蛮と言うべきか。片手だけでもその威力は変わらない。
「でも、心配してるのは本当だよ。…蛮ちゃんが痛い思いしてるのに、俺、何もしてあげられなくて…だから俺でも出来る事があるなら、してあげたいんだ」
「…」
普段、見ることの少ない真剣な表情に、蛮は何も言えなくなる。しかし、その一瞬後には、銀次の言葉の意味を正しく理解し、反論していた。
「だったら襲ってくんなよ」
「うっ、」
愛しい人を目の前にして何もするなと言う方が無理な話だが。