人類最弱、転生しました

□field 1-3
3ページ/6ページ


 転んだ子は綺麗な橙色の髪をした男の子だった。

「大丈夫?」
「うん、へいき」

 男の子はそう言って一人で立ち上がったが、膝からじんわりと血が流れてきて見るからに痛そうだ。

「保健室まで一緒に行こうか?」
「……ありがと、ひとりでいけるよ!」

 そう言って男の子は一人で歩いていってしまった。……痛くないのかなぁ。

「あ、壱様っ!」

 そう思ってたら恵美ちゃんが抱きついてきた。

「どうしたんだい、恵美ちゃん」
「いえ。壱様がぼぉっとしてるみたいだから、抱きついてみました」

 そんな理由でいいのだろうか。

「ところで、なんでぼぉっとしてたんですか?」
「いや、名前を聞き忘れたなぁって」
「転んだ男の子の名前ですか?」
「うん」
「あの子の名前は――


 ――封宮京(フウミヤ ミヤコ)って言います」

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ