人類最弱、転生しました
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あれから僕は、彼女と一緒に血だらけのリビングでお茶を飲みながら、自分達の事を話した。
なんせ、彼女は僕が無意識に言った「零崎」と言う名に反応し、正体を問い詰めてきたからだ。
しどろもどろしながら説明すると、「なぁんだ、人識君の言ってた人か」と言っていた。「何故、零崎人識の事を知っているの?」と聞いたら、彼女の事を色々教えてくれた。
そして、彼女の名前が零崎舞織である事が判明した。
そうしてこうして、話していくうちに呼び名は「舞織ちゃん」と「いっくん」に決定した。
「そういえば、いっくんはどうやってこっちに来たんですか?」
舞織ちゃんの問い掛けに僕は答えることが出来なかった。
何故なら覚えていないからだ。
その事を舞織ちゃんに伝えると考えこんでしまった。
いったい、なんなのだろうか。
「…明日はいっくんの卒業式でしたよね?」
「うん、そうだよ」
言っていないが、僕は六歳なのだ
。
なので、舞織ちゃんは七歳となる。少年少女が血だらけに居る図を思うとなんだかシュールだ。
「明日」
突然、舞織ちゃんが言い出した。
「え、明日が何なの?」
そう聞くと、舞織ちゃんは覚悟を決めた赤味がかった瞳で僕を見る。
「明日、いっくんの卒業式が終わったら引っ越しましょう。
舞織ちゃんたちのことを知らない土地に」
それはまだ、五分咲きの桜が公園で見られる季節だった。
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「人類最弱、引っ越しました」