短編&拍手文

□嘘吐きの主観概念
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 それは何時もと変わらなかった。

 それは何時もと変わらなかった。

 ハズだ。

 オリエンテーリング最後の関門、めだ関門を終えためだか達は帰るつもりだった。

 スタート地点に帰ろうした。

「死ねっ! そこの人間!」

 だが、殺人予告の台詞が聞こえた。

 振り返ったがもう遅い。

 黒神めだかの目の前に、斧が迫り―――。

 いずれ来る衝撃に備え、目を閉じた。











 だが、何時までたっても衝撃が来ない。

 ゆっくりと目を開けていくと―――

『君、澄百合の娘だよね。なんでこんなところに居るのかな?』

 球磨川禊がグローブ(どちらかと言うと手袋に近い)をつけ、螺子ではなくその手で受け止めていた。

『もしかして脱け出してきたの?』

 球磨川禊が少女に問い掛ける。

 少女は球磨川禊と目を合わせた瞬間、尋常じゃないくらいに怯え始めた。

『もし、脱け出してきたなら僕が《策士》がくるまで時間稼ぎしなきゃね』

 そして球磨川禊はニタァと笑う。

「ひ、あ、ゆ、許して、ください。殊珀先輩…」

 少女は球磨川禊に許しを請う。

『ん?』

 そして球磨川禊はたっぷり溜めたあと、こう言った。

『誰が許すかよ、ばーか♪』

 その瞬間、少女の目から、鼻から、口から、耳から、体中の関節から血が吹き出した。

 そしてゆっくりと倒れていく。

「え…」

 周りにいる人物は理解出来なかった。

 目の前にいる人間は、本当に球磨川禊なのかと―――


嘘吐きの主観概念



(澄百合の調和を乱す者は)
(僕が制裁してあげる)




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