太陽はハカイがお好き
□stage 2-3
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コツコツコツ、と一人分の足音が廊下に響く。
「あの……、少しいいですか?」
山江狂は足音の主、野崎ノエルに声をかけた。
「……何でしょう、山江様」
「ちょっと質問してもいいっすか?」
その問いかけに、いつもの笑顔で承諾する。
そして山江狂は浅い深呼吸をして問う。
「なんで円堂守が必要なんすか」
「……なぜ私に、その質問をするのでしょうか?
橘様や姫井様、烏丸様でも、いい気がするのですが……」
「あ、いや、だって……
――野崎さんが一番まともそうなんで………………、え?」
山江狂は理解出来なかった。
ただ、わかる事といえば目の前にいる野崎ノエルの雰囲気が変わった位である。
「貴男は何か勘違いをしています。
第一に《最終限界》に、まともな「化け物」はいるかもしれませんが、まともな「人間」は一人も居ません。
誰もが常人では理解出来ない思考、または能力を所持しています。
まあ、そういう意味では貴男が一番まともですかね。
それと円堂守の必要性は大いにあります。
何故なら彼は、最後の原形(オリジナル)です。
だから必要なんです。
――私達よりも数倍も逸脱した「化け物」、ですけどね。
では失礼します」
そういって彼女は去ってった。