桜の花弁
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――私がこの時代に来てから、もう二週間が経った。
あちらに戻れる気配は一向にない。
最初の頃は斎藤さんの稽古に参加していたが、三日間でもう限界に達してしまった。
それから私が稽古に参加しなくなると、斎藤さんはわざわざ私の部屋に来てまで参加するように誘ってくるようになった。
そして今日も―――
「冬里。今日こそは参加してもらうぞ」
「嫌ですよ!斎藤さん、しつこいです!」
「何故稽古に参加しない?俺はあんたの為を思って言っているのだからな」
こんなやり取りをもう毎日続けている。
もうイヤだ……。
「そもそも私にこうやって言っている時間が勿体無いんじゃないですか?」
「なら、早く稽古に参加しろ」
「だから――!そういうことを言ってるんじゃないんです!!」
「何が違うと言うのだ。理由を言ってみろ」
「だって斎藤さん、当たり前ですけど私今まで一度も刀なんて握ったことないんですよ?それなのに初めから容赦ないし…。私が自分から剣術を学びたいって言ったわけじゃありませんし放っておいてください!!」
「あんたが一人でいた時に不逞浪士が屯所に入り込んできたらどうするつもりだ。剣術一つ出来ないあんたはすぐに斬られるぞ」
「それはそうかもしれませんけど…」
斎藤さんも頑固だなぁー、なんて思いながら言い訳を探す。
「そんなに言うなら私これから斎藤さんのこと無視しますよ…!?」
「あんたが無視しよう勝手だが、俺はあんたを稽古に参加させるまで誘い続ける」
「ちょっ、…何ですかそれ!ストーカーじゃありませんか!」
「すとーかー…?なんだそれは」
あああああああ……!!!!
この時代、どの言葉が通じてどの言葉が通じないの!?
…色々考えていると、一つ疑問が浮かんだ。
―――――