桜の花弁

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晒しは思ったより巻くのが難しくて困ったけど、着物は簡単に着れた。
ただいつも着ているわけじゃないから凄く歩きづらくて疲れちゃいそう。
そう思いながら、ぎこちない歩き方で昼間に向かった。




「――おはようございます」



襖を開けると皆が朝食を食べていた。



「おはよー夕季!って、その服どうしたんだ?」


平助くんが服について訊ねてきた。
…確か、土方さんが渡せって言ってくれたんだよね?
お礼言わないと―――


「土方さん!あの、これありがとうございます!!」

「いや、気にすんな。小さい男もんの服はあるかって八木さんに言ったら、丁度良いのがあるってくれたんだよ」

「そうなんですか。本当、感謝します!」


礼をし終わってようやくご飯が食べられる―!!
辺りを見ると、左之さんと平助くんの間の席が空いていた。


「夕季、お前の席はこっちだぜ」

「はいっ」


左之さんが席をぽんぽんと叩きながら私を呼ぶ。
席に着いて膳を見る。
昔の料理だからちっぽけなものかと思ったけど、今の時代でも食べている焼き魚、お浸し、お味噌汁、ご飯があって
普段とあまり変わらないじゃん、と思わず笑みが浮かぶ。

すると、それを見た左之さんが言う。


「なにが面白いんだ?」

「いえ。ただ私の時代で食べているものと、全然変わらないんだなって思って」

「そうか。なら、安心して食べれるな」

「でもちゃんと味わって食べろよ!!新八っつぁんが夕季の飯奪おうとして守るの大変だったんだからな!!」

「しょうがねえじゃねぇか!俺の身体の大きさだったら、この料理の量じゃ足りねぇんだよ!!」

「新八さん酷いです!…平助くん、ありがとう」




そう言われて、さっきの沖田さんの言葉を思い出した。




『早くしないと新八さんにご飯取られちゃうよ』




朝一番に沖田さんが言ったこと、本当になるところだったんだ…。
食べられてなくて良かった…。







―――――




 
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