桜の花弁
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こっ恐い――!
逃げようと後ろ手で襖を開こうとするが足も恐怖で動かないし、手も震えて上手く手が掛けられない。
「逃げようとなんてしないよね?逃げたら斬っちゃうよ」
「―っ!?」
今この人、平気な顔して斬るとか言った!?
「総司!そんなことを言ったら怖がってしまうだろう。ほら君、立ってないで取りあえず座りなさい」
「はっはい…」
「…全く。近藤さんは人が良すぎですよ」
近藤さんという人にそう言われ、夕季はその場に正座した。
そして、黒髪の役者みたいな綺麗な顔立ちの人が睨んできた。
顔が美しいだけにすごく恐ろしい。
「単刀直入に言う。お前は何者だ?」
「えっ。わっ私は冬里夕季です。あの…ここはどこですか…?」
「はぁ?何を言ってやがる。ふざけてるのか?」
「いえっ!私、家にいたのに…。本当にここがどこだか分からないんです!」
私の発言を聞いてその場にいた人たちはみんな、顔を見合わせた。
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