桜の花弁
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―――今日は学校の委員会とかあって、ちゃんとした睡眠はとれていなかった。
家に帰る時間も少し遅くなってしまった。
「今日一日疲れたー。もう家帰ったら寝ちゃお」
目の下にクマをつくりながら夕季は帰り道を歩いていた。
もう夜の7時頃だろうか。
暗くなっていた周りから、だんだん自分の家が見えると
ようやく休めるという嬉しさから自然と笑みが浮かぶ。
家についた夕季は玄関に鞄を放り投げ、すぐに自分の部屋に向かった。
夕季の部屋は和室。
普通の扉じゃなく襖だしフローリングじゃなく畳。
部屋に入るために襖に手をかける。
「あー。今日は疲れたし眠いなぁ。もう寝よー…」
そして自分の部屋に入った
―――はずだった。
「…え?」
しかし、目の前にあるのは自分の知っている部屋ではなく
知らない広間みたいな所で沢山の人たちが夕飯を食べている様子だ。
その人たちは何故か全員着物を着ている。
しかも全員の視線が痛い。
しばらく周りを見渡した後、夕季は勇気を振り絞って訪ねた。
「あ…あの!あなた方、だっ誰ですか??」
「それはこっちが聞きたいんだけど。君、誰?」
翡翠色の瞳をした男性に質問を質問で返されてしまった。
警戒心丸出しの声色で、しかも睨まれている。
―――