嘘吐きな恋

□第二話
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「・・・・・はあ?」



予想もしていなかった言葉に思わず声を出してしまう。





「別に、本当の恋人じゃなか。
"偽物の恋人"ってことぜよ」



偽物の恋人・・・ますます意味が解らない。





「どういうこと?」


「言ってしまえば、ただの"告白避け"。
例え断っても、彼女がおらんかったらまだ告白してくるやつ、おるじゃろ?」





それは解る。

それは解るけど・・・





「なんで私なの?」



そうこれ。

なんで私じゃなくちゃ行けないの?





「自分よりレベルが低かったり同等じゃと、
嫉妬して虐める可能性があるナリ。
お前さんだったら大丈夫じゃろ?

美人で可愛くて誰にでも好かれる"優等生"さん」




嫌みか、この野郎。



でも実際そういうことはあって。

面倒くさく感じてきたところもある。





「悪くない話ぜよ?」



・・・・・。










「解った。」




私は、ある意味契約じみたその話を受けることにした。

自分にとっても有意義であるかと思ったからだ。


好きな人も居ないし、丁度良い。





「仁王・・・ただ、この性格は黙ってろよ」


「おー怖っ!それに彼氏に仁王なんてつれないぜよ」


「偽物でしょ」




そう言いながら笑う仁王。


じゃあなんて言うのか。





・・・あっ、





「雅治」


そうか、名前呼びしてれば違和感ないよね。



私はそう思い"雅治"と名前で呼ぶと、
仁王は驚きを隠せないような顔をしている。


普段はそんな顔をしないから、私は面白がって何度も名前を呼んだ。





「"雅治"もそんな顔するんだね」


「・・・馬鹿か」



名前を呼んでからずっと、仁王は俯いてばかり。

新たな一面だな。


なんとなく、悪い人じゃないんだって解った。




その後、私は帰る支度をして家路についた。







「雅治って、面白いんだな・・・」










雅治ー・・・仁王が顔を赤く染めていたことさえ知らずに。



















(偽物の恋の、)

(ハズだったのに。)

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