霞の向こうの話
□―Repeat―
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あれは、俺が高校一年生、新八っつぁんは二年生の秋の初め頃。
“その日”の学校からの帰り道。
俺は、翌日出さなければならない課題のプリントを学校に忘れてきてしまったことに気がついた。
もう半分以上、帰っているところだったんだけど、新八っつぁんは俺につき添い、学校まで戻ってくれたんだよね。
放課後の学校は、部活をしている生徒以外はもう人もまばらで、教室にはほとんど人の影は見えなかった。
俺は、新八っつぁんを連れ、自分の教室へと向かった。
誰もいない教室。
日が少し傾きはじめ、夕焼けが辺りをうっすらとオレンジ色に染めあげている。
俺は自分の席までたどり着くと、どこかにあるはずのプリントを求め、自分の机の中を探り始めた。
新八っつぁんは俺の前の席に座り、そんな俺の様子を眺めていた。
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