霞の向こうの話
□春の眠りの目覚めには
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「…う……んっ……」
と平助は目を覚した。
辺りはもうだいぶ日も落ちていた。
…あー俺、あのまま寝ちゃってたのかぁ…。
―ふと、肩の辺りを見ると何か掛かっている。
まだ、ぼーとしている目でその布らしきものを見ると、どうやらそれは羽織のようだった。
…あー、だれか掛けてくれたんだなぁ………
………って、この色っ…!この柄っ!!間違いないっ!!いつも見慣れている―――。
ドタドタドタと激しい音を立てて廊下を走る足音。しかも、「し〜んぱ〜つぁ〜んっ!!」と叫びながらその足音の張本人は近付いてくる。
…少しは周りの迷惑も考えろよな。馬鹿っ。
って、あいつにそんな配慮を求めるだけ無駄か。
…あーあ、こんなことならわざわざ掛けてやるんじゃなかったネ。
〜fin〜