霞の向こうの話

□春の眠りの目覚めには
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…そりゃあ、ふわふわだろーヨ。お前が撫でてんの猫の毛だからネ。


と新八は呆れてしまった。



ってか、いつから俺は猫になったんだヨ。まぁ、どうせこいつの夢の中では俺の髪の毛でも撫でてるってトコなんだろうけどサ。



相変らず、猫に触るのを止めようとしない平助に、猫もとうとう目を覚してしまったようだ。猫は、小さな欠伸をしながら延びをすると、迷惑そうに平助の手から逃れ、そのまま庭の方にすたすたと歩いて行った。



…平助、お前猫に見捨てられてるヨ。



しかし、そんなことお構いなしの夢の中の平助は


「…うんっ。…俺も、…す…き〜。…愛してる〜…しん、ぱっ…つぁ〜ん♪」


などと相変らず好き勝手なことを言い、にへら〜と笑う。


ってか、「俺も」ってなんなんだろうネ。「も」って。俺はそんなこと言った覚えはないんだけど。






…と、ここまできて寝ている人物(特に平助。しかも、夢ならではの願望入りまくりである)に突っ込むのも阿呆らしくなって来た(あるいは疲れた)新八は、その場を後にすることにした。



辺りは徐々に日も暮れ始め、春とはいえ、少し肌寒い風が吹き始めていた。














…ったく、風邪ひくぞ。馬鹿っ。





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