霞の向こうの話

□桜、舞い散る風の中で
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「花見〜?」


「そ、お花見♪」


再び平助から同じ言葉を聞いても、新八はどこか納得がいかない様子だ。
それもそのはず、


「花見って、平助。一昨日、近藤さんや土方さんと行ったばかりじゃない」


そう、一昨日、皆で行ったばかりなのだ。もちろん、平助と新八も行った。それなのになんで今日も?と新八の表情は物語っている。いや、別に何回も行ったらいけないってわけでもないけどサ。
そんな新八に


「そりゃ、土方さんたちと皆で行くのも楽しかったし、いいんだけどさ〜。やっぱり、俺としてはしんぱっつぁんと二人きりでも行きたかったっていうか〜」

と平助。それに、皆がいるといちゃつけないし。とも思ったが、それは敢えて口には出さなかった。


「ねぇ、ダメ?」


探るような目を向けてくる平助に新八は、


「別に、いいけど」


と軽く答える。
その答えを聞くや否や平助は、

「じゃ、急いで支度してっ!ほらほら〜しんぱっつぁんっ!!早く〜早く〜っ!」

と嬉しそうに急かす。そんな子供みたいな平助の様子に新八は(平助には分からないように)苦笑しつつも、支度を始めた。

―まぁ、たまにはこんなのもいいデショ。ちょうど俺も暇してたところだしネ。本は暇潰しだったし。それに早くしないと桜も散っちゃうしネ。
誰も聞いている人がいるわけでもないのに言い訳を並べる新八。



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