霞の向こうの話

□春の眠りの目覚めには
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新八が縁側の廊下を横切ろうとすると、ふと足下で誰かが寝ているのが目に入った。



―平助だった。春の暖かな日差しの中、気持ち良さそうに寝息を立てている。平助のすぐ横には白猫。こちらも同じように気持ち良さそうに眠っていた。





…どうせ、こいつのことだから、どこからか迷い込んで来た猫相手に


「うっわぁ〜か〜わっい〜っ!!∨どこから来たの〜?お前〜♪」


とかなんとか言って愛でてるうちに、春の陽気に誘われて猫共々眠りに入ったってとこだろう。この様子だとどっちが先に眠りに落ちたか分かったもんじゃないけどネ。




改めて平助の寝顔を見ながら新八は、こいつも寝ている時ぐらいは大人しいんだけどネ…と平助の頬を指でつっつく。


「…んっ……ん…」


ところが、平助は寝ながら何かを言っているようだった。新八は、その平助の寝言に聞き耳を立ててみることにした。


「…う……んっ…しん…ぱっ…つぁ…ん…」


と言いながら平助は寝返りを打つ。





…って、俺の夢かヨ。


その寝返りを打った平助の手元には猫の身体。そして、その猫の毛を触りながら平助は


「…んっ、ふっ…わ…ふっ…わぁ〜っ…♪しん、ぱっ…つぁ…ん…」


などと言っている。



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