霞の向こうの話
□星との逢瀬
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「しんぱっつぁん、七夕の伝承って知ってる?」
「…あの織姫と彦星云々ってやつ?」
「…うんっ」
「…で、それがどうしたのヨ?」
「…や、―年に一度しか会えないなんて寂しいよね…って思ってさ…」
いつになく、しんみりとした様子で夜空の星々を見上げ、呟く平助。
「俺なんて一日ぱっつぁんに会えなかっただけでも死にそうなのにさぁ…」
「………まぁ、お前はネ」
「…って、ぱっつぁんは俺に会えなくても平気なの〜〜っ!?」
「…さぁね」
そう言って微笑んだ新八の穏やかな表情に平助は気が付かなかった。
「…でもさっ!」
先程のしんみりとした雰囲気とは少し変わって、多少声に明るさをこめて平助が言う。
「…もし、もしもだよ?俺と新八っつぁんが何かの事情でさ、一年に一回しか会えなくなったとしてさ。そして、その日雨が降っちゃって河が邪魔して会うことが困難になってしまったとしても…俺なら新八っつぁんに絶対会いに行くよっ!どんなことしてでもっ!!」
夜空の星々がきらきらと瞬き、地上の二人のもとへと光をとどける。
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