御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□想ヒ全テヲ貴方ニ捧グ。第一章
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「貴方が好きです。」
「・・・ふん・・・くだらん。」
「それが・・・答えですか?」
「答えも何も俺はそんなくだらん情などいらん。
・・・やはりお前は人間だな。」
「・・・・・。」
「俺はもう行く。」


吹き込む風と引き換えに去って行った彼の見えなくなった背中を追った。
思いが伝わるなんて最初から思ってなかった。
けれど、伝わらないとも思ってなかった。
じゃあ自分は彼に何を望んでいたのだろう。
拒否されたのだと再認識しながらも不思議と悲しみはなかった。
彼は次に会った時も今までどおりだろう。
それがわかっているからこそ、こう冷静でいられるのかもしれない。
きっと彼もいつもの気まぐれとしか受け止めていないだろう。


「俺・・・ふられたんだよなぁ・・・」


本当にわかっているのかと自分に言うように口に出してみる。
ただ風が冷たかった。




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