御伽噺1(蔵馬メイン小説)
□天気雨
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普段は我儘も言わず周りからは大人と思われているくせに実際はこれだ。
飛影といる時しか見せないとわかっているから嬉しいやら迷惑やら・・・
飛影はコーヒーを含みながら思った。
苦い・・・
不機嫌からか砂糖を入れ忘れたらしい。
精神的に被害を受けている飛影はさすがに気がめいってきてベッドを立ち窓から外を窺う。
すると飛影は一瞬目を見開いた。
「おい・・・あれは何だ?」
「え?」
低めの声で蔵馬がため息をつきながらのそりと立ち上がる。
「あぁ、虹ですよ。」
「虹?」
「そう。雨上がりに晴れたら時々出るんです。・・・ってまだ少し降ってるなぁ。天気雨だ。」
「・・・・・。」
窓を開けて蔵馬が上を見上げる。
雲の隙間から少しずつ光が射してきた。
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