御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□Trouble Meal
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「騒がしいな。」


自室で薬草の世話をしていた蔵馬は窓から外を見下ろした。
この高い階層にある部屋にも先程から外の兵士達の騒ぎ声が聞こえていた。
しかしいくら耳のいい蔵馬にもその声ははっきりと聞こえなかった。


「何かあったのかな?」


そう思いながらも巻き込まれるのを避ける為、蔵馬は部屋から出なかった。
必要があれば声がかかるだろう。
第一、人間界とこちらとの行き来、そして軍事国家らしい度重なる軍法会議で正直蔵馬は疲れていた。
それなのに自らのこのこ足を突っ込んでいくほど元々物好きじゃない。


「どうか関わらずにすみますように・・・」


小さく呟いて蔵馬はベッドに倒れこんだ。
・・・と同時に・・・


「失礼します!蔵馬殿、黄泉様からご通達が。」
「あー・・・」


なんてタイミングだ。
蔵馬はらしくない声を素直に出しながら扉を開けた。


「黄泉様が食事の席に出席するようにとの事です。」
「あー・・・腹へってないんで・・・」
「しかし・・・客人を招いてのものですから・・・」
「客?」
「お願いします、蔵馬殿!!」


これ以上彼を困らせる事に意味はないか。
諦めた蔵馬はいつもの笑顔でわかりましたと答えた。





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