御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□綺麗と幸せと光と・・・
2ページ/8ページ

「なんだ?」
「俺には聞かないのか?お前の思う綺麗な物はなんだと。」
「聞いて欲しいのか?」
「そう言われたらむなしくなるなぁ。」


苦笑いをしながら奴は月を見上げる。
俺も月を仰いで酒を飲む。


「蔵馬、お前は幸せか?」
「は?」
「幸せか?」
「妖怪にそんな感情があるはずないだろう。」
「そんな事ないぜ?」


鼻で笑った俺にかなり本気で否定してくるのがおかしかった。
なんなんだ?


「蔵馬、幸せって言っても意味が広い。
俺が聞いてるのは生きていたいか?って事だ。」
「?」
「今お前は生きていたいか?俺は・・・」
「・・・・・。」
「俺は生きていたい。
生きていたいと望むって事は、今が結構好きって事だろ?そりゃ一概には言えないけど。」
「お前は今が好きという事か?」
「そりゃもう、愛しちまってるなぁ!」
「馬鹿か。」
「今が好き。つまり幸せ。」
「そういうものか?」


わからん。
こいつより俺はかしこいはずなのに。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ