御伽噺1(蔵馬メイン小説)
□大切な空間
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少し遅れて下に着くとせかせかとお茶の準備をしている母さんと、椅子に座ってそれを見る飛影がいた。
飛影の隣にかけると遅いぞといった顔で睨まれた。
「見て!綺麗でしょ?」
「なんだこれは・・・」
目の前に出されたのは、青い透明のゼリーに花びらが閉じ込めてある涼やかな和菓子。
「綺麗だね。」
「ほぅ・・・」
「夏らしくてつい買っちゃったの。さぁ食べましょう。」
三人でお茶なんて本当にありえないと思う。
でも現実にこの時間がある。
「飛影のは・・・薔薇の花びらだね。」
「・・・・・。」
小さく切って口に運ぼうとした時、それまで黙々と食べていた飛影が俺の服を引っ張った。
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