御伽噺1(蔵馬メイン小説)

□大切な空間
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「ただいま秀一・・・あら、飛影君来てたの?いらっしゃい。」
「おかえり母さん。」


仕事から帰った母さんが俺の部屋を覗くと、ベッドに横になっている飛影と、ベッドに背を預けて雑誌を読んでいる俺がいた。


「お茶でもどう?おいしそうなお菓子見つけたの。」
「ほぅ・・・」
「下にいらっしゃい。飛影君、今日は何飲む?」
「薔薇のやつ・・・あれは嫌いじゃない。」
「この前もローズヒップだったでしょ?
今日のお菓子は和菓子だからお茶のほうがいいんじゃないかしら?」
「ふん・・・仕方ない。我慢してやる。」
「ふふっ、ありがとう。じゃあ今度はローズヒップに合うお菓子探して来るわね。
秀一も早く!」


そんな会話をただ呆然と見ている俺が、一応母さんの息子なんだよなぁ・・・と馬鹿な問いを自分に投げかけてしまう。
俺を残してトントンと階段を下りていく二人の足音がやけに軽やかに聞こえる気がする。





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