薔薇の記憶(過去作品)

□なんてタイトルをつけていいかわからなかったシリーズ
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この想いで焼き尽くそう。



今この身体ごと右手に棲まう黒龍になってしまえたら・・・
今この身体ごと自らが操る炎になってしまえたら・・・
遠く離れたお前の元へ行けるのに。

「蔵馬・・・」
「飛影?」
「・・・いつまでこんなくだらん睨み合いを続ける?」
「くだらん?」
「・・・いつまで・・・」

振り返った飛影の表情に躯はゾクリとした。
切なく、悲しく、そして怒りを浮かべたその紅の瞳。
そして彼にこれ程の感情を持たせる存在を躯は知っていた。

「黄泉が何かしたのか?」
「国などどうでもよかった。俺はただ強い奴らがいるからここへ来たんだ。
貴様や雷禅、角野郎など・・・どうでもよかった。」
「・・・・・。」
「だが今は心底後悔している!
俺がどうでもいいと思っていたその国のしがらみにあいつが捕らわれているのだからな!
国王だの参謀だの・・・そんなくだらんしがらみにあいつは・・・!」

握り締めた飛影の拳から真っ赤な鮮血がポタリポタリと落ちている。
それが床にはめ込まれた石の間に染み込んでいく様を黙って躯は見ていた。

「だが・・・」
「・・・?」
「だがあいつは・・・そんなしがらみの中でも決して屈さない。
自らを犠牲にしてでも自分の心を守ろうと・・・俺の心を守ろうとして・・・」
「蔵馬か・・・」
「他人の為に自分を犠牲にする・・・甘い奴だ。ヘドが出る程な。
だがそれがあいつなんだ。
それが蔵馬なんだ・・・」

遠くに見える癌陀羅の影を見つめてつぶやいた飛影のその言葉は、躯の心に少しの痛みを与えた。
自分の物にしたいと願う存在が、目の前で自分が会った事もない奴を思っているのだから。

「蔵馬・・・」
「・・・・・。」
「必ず・・・迎えに行くからな。」

トーナメントが開催され、飛影が蔵馬を抱きしめられるのはもう少し先の事。



end


黄蔵の続きです。
蔵馬がヤられちゃったみたいな表現になってますが未遂ですからね!
文才の無さのせいですorz
しかし飛影はこんな事言わないよね。
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