薔薇の記憶(過去作品)

□想い焦がれたその時に(過去連載)
2ページ/5ページ

想い焦がれたその時に 2



飛影が蔵馬を抱きしめている。
こいつはこんなに表に感情を出す奴だったか?
俺も含めて周りを囲んでいる全員が驚いてる。

「飛影・・・もう大丈夫ですから・・・」
「・・・・・。」
「離して・・・」
「・・・ずっと・・・」
「え・・・」
「ずっと・・・こうしたかった。」
「・・・!!」

これは飛影の本心だ。
嘘偽りない本心。
だってこいつら、すげぇ綺麗なんだ。
なんでかわかんねぇけどさ。
蔵馬の髪を撫でる飛影は見た事ないぐらい優しくて・・・これが本当の飛影なのかもしれないと思った。
きっと蔵馬にしか見せないんだ。

「・・・飛影・・・よかったな。」
「・・・・・。」
「敵同士だったもんな。」
「・・・・・。」

正直気になってた。
親父はともかく、躯と黄泉が激しく敵対してた事。
そしてその頭に呼ばれたのがなんでお前らなんだって・・・なんで俺じゃなくてお前ら二人なんだって・・・

「飛影・・・貴方の香りがする。」
「・・・・・。」
「俺も・・・会いたかったよ。」

その蔵馬の言葉にようやく飛影が顔を上げた。
ようやく笑った蔵馬がすげぇ綺麗だ。
そう思ってたら飛影が蔵馬に・・・

「ちょっ・・・飛影!みんないるのにっ・・・///」
「知らん。」
「やっ・・・ん・・・///」

あぁ・・・やっぱ飛影だ。
大勢の前での強引なキス。
カメラが撮ってたらどうすんだよ。
もう苦笑いしか出ねぇ。
でもなんでかな・・・俺もすげぇ嬉しいんだ。
きっとここにいる奴らみんなそうだと思う。

「・・・っはぁ・・・もう、貴方って人は///」
「ふん・・・こんなもんじゃ済まさん。」
「えっ・・・///!?」

動揺しまくりの蔵馬をひょいっと抱える。
これはもう俺達が知ってる飛影の顔だ。

「こいつを医務室に連れて行く。」
「あぁ・・・頼んだぜ!」
「みんな、また後で・・・」
「蔵馬、お疲れさん!飛影・・・」
「・・・・・。」
「よかったな。」

ふんと小さく聞こえた。
どんどん小さくなっていくその黒い背中を、俺はかっこいいと思った。



ツヅク。


今回は幽助視点でした。
糖分はいかがでしょうか?
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ