薔薇の記憶(過去作品)

□傷ついた君に(過去連載)
2ページ/2ページ

緊急治療室から出てきた体は包帯だらけだった。
あれだけの傷を負っておきながら応急処置程度しかしてなかったくせに、俺も含め他の奴らの治療ばかりしてやがったのか。


「馬鹿野郎・・・」


眠ったままの顔に触れるとほんのり暖かく、蔵馬が生きている事を実感した。
あの戦いでお前が吸血植物を呼び倒れた時、生まれて初めて鳥肌がたった。
生まれて初めて背中がゾクリとした。
お前を失ったのかもしれないという恐怖・・・
他の奴にお前が奪われたかもしれないという恐怖・・・
鴉がお前を俺から奪っていったのかもしれないという恐怖・・・


「蔵馬・・・」


たまらなかった。
鴉がお前に触れる度・・・鴉がお前に囁く度・・・命を賭けた戦いだとわかっていても、俺の中に黒い物がこみ上げてきた。
鴉の異常なまでのお前への執着を・・・それを愛だと感じたから。


「ん・・・」
「蔵馬・・・」
「あ・・・ひえ・・・痛っ・・・」
「起きるな。」


声を聞いた途端体中の力が抜けた。
生きている。蔵馬がここにいる。
それがどれだけ自分にとって必要な事かを改めて知った。


「俺は・・・」
「蔵馬・・・」


口付けたら、それは変わりなく柔らかかった。
目を合わせたままのキス。
蔵馬の存在を確かめたかったから。
翡翠の瞳が俺を映すのを見ていたかったから。


「・・・妖気を送り込んだ。」
「あ・・・りがと///」
「蔵馬。」
「・・・はい?」


その瞳の中にもう鴉はいなかった・・・いや、そう信じたい。
敵だとわかっていても、あそこまでお前に正直に想いを伝えた鴉が憎かった。
俺の物なのに・・・こいつは俺だけの物なのに・・・


「愛してる・・・」


だから今だけ俺も正直になろう。
生きていてくれたお前に・・・
その瞳に俺しか映らないように・・・


end


2006.2.18の日記より。
蔵馬vs鴉戦を見て書きたくなったので。
いかに飛影が蔵馬を好きかを私は言いたいのだよ!!
文才がなくても!!
描写が下手でも!!
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ